歯 インプラントのマネしたい技術
インプラントを施術するのには技術が必要になります。たしかな技術を持ったお医者様なら、より安心してお願いできますよね。
自ら効果を確信しているわけでもないあれこれの医学的演技を、患者をあざむきながら行なって間を持たせているのに比べて、はるかに難しい役割を医者が買って出ることを意味するわけですから、告知の問題を患者の問題としてだけでなく医者自身の側の問題としても真剣にとらえることが必要でしょう。
それなくして安易に告知することはできないはずです。
要するに、死とそして死にゆく患者とへの自らの視座が確立した後、はじめて医療者にとって情報公開ないし告知の問題をあげつらう資格ができるというものでしょう。
人間を医学的研究の対象とする場合の「知らされた上の同意」の原則は、広く国際的に承認されたのです。
そしてその手続きと内容とを最も具体的に記述しているのは、アメリカ政府の諸規定です。
それによると「知らされた上の同意」は、単に口頭で説明するだけでなく、後に述べる施設審査会の審査を外した説明文書を手渡した上で、分かりやすい口頭の説明を加えなくてはなりません。
素人にはどれほど分かりやすく説明しても正しく理解できるとは限りませんが、第三者性の強い審査会を外した研究計画であることが保証されれば、患者が同意しやすくなるわけです。
たとえば新薬の試験についての説明文書の場合には、その研究の目的、方法、期間、予見できるリスク、予期される利益などを記載し、他に代わるべき治療法があればそれを明記しなければなりません。
そして、途中で新しい情報が得られた場合にはそれを知らせることを約束し、どんな質問にも答えることを保証し、何かの偶発事が起こった場合の補償と治療について説明し、何か問題が生じた時の連絡先を明らかにする必要があります。
さらに、試験への参加は全く自由意思によるもので、参加を拒絶してもそのために何らの不利をもこうむらないことを確認し、しかも途中で申し出ればいつでも直ちに試験を中止することを確約しておかなくてはならないことになっています。
「よく説明した上の同意」には二つの重要な柱かつて、一つはできるだけ発性です。
直接的な強制や強迫あるいは虚偽かつてはならないことはもちろんですが、間接的な誘導もあってはならないことが規定されています。
新薬研究の場合などには患者や企業の社員などがよく被検者として利用されますが、このような場合はもともと強い依存関係、従属関係が存在するわけですから、形式的には自発的であっても真の意味での被検者の自由意志が保証されているかどうかが疑わしいわけです。
アメリカでは第二次大戦以来、多くの囚人が医学試験の対象になりましたが、囚人の自由意志というのはきわめて疑わしいわけですから、最近は厳しく制約されるに至りました。
精神障害者や幼児の場合は、当然、代理人の同意を必要とします。
精神の健全な成人の場合でも、専門家と素人との開の取り引きですから、前者がその気になれば、赤ん坊の手をねじるよりもたやすく思い通りに同意を手に入れることができます。
そこで後の証拠のため、必ず説明内容を書類として整え、相手のサインを得ておかねばなりませんし、同時に立会人のサインを求められます。
このような厳しくかつ細かい規定を行政当局がぶりかざしているのは、アメリ会であることなども理由の一部ですが、アメリカがタスキギ事件(黒人の梅毒患者に対して当然施すべき治療を研究目的のため施さず長年放置した事件で、公衆衛生局自身が関与していた)、ウィロブルク事件(精神薄弱児にウィルス性肝炎をうつさせた事件)、ニューヨーク慢性病院事件などに見られるように、非人道的研究が行われやすい社会風土であることとも無関係ではないように思われます。
ヨーロッパでは、もう少し研究機関あるいは学会の自主性にまかせる形をとっているところが多いようです。
無作為化試験を確立したイギリスの医学研究評議会の現在の指導者の一人フォ。
クスさんは、人間を対象とする医学的あるいは行動科学的研究に際しての倫理へのアメリカ政府の神経質なまでの直接介入を、偏向しやすいアメリカの医学研究風土のせいではないかと私に語ったことがありますが、たとえば反倫理的な医学研究の例を集めた『人間モルモット』しても、わが国では学会の自律も国の規制も、ともにはなはだ不十分であるといわなくてはなりません。
とにかく医学の進歩のためには動物実験だけでは不十分で、人間自身における研究の過程を経なくてはなりませんし「ヘルシンキ宣言」が主張するように病人の利益のためには医者は新しい治療法を試みることを躊躇すべきではないと考えられますから、それだけにいっそう明確な倫理的歯止めが必要となるわけです。
今日までの医学の進歩、それによる人類の福祉の増進は、人間自身における医学研究のたまものでした。
一九八〇年、世界保健機関がついに地球上からの天然痘の根絶を宵一言するに至りましたが、これは十八世紀末ジェンナによって思いつかれた種痘を初めて受けた八歳の少年がいたからであるということができましょう。
感染症に対するペニシリンにしても、脳腫瘍の場合の脳組織の切除にしても、試験台になった人間第一号が存在したからこそ、人類がこれらの画期的な新治療法の恩恵にあずかることができたのです。
この意味では、今日の私たちは過去の多くの自発的志願者から大きい恩恵をうけているのですから、今日の私たちも進んで医学の新しい研究に協力しなくてはならないわけです。
しかし人類のため、社会のためであるからといって、特定の一人の人間を医学研究の試験対象として選び出す権利をどのような偉大な医学研究者ももっているわけではありませんから、よく説明された上での自由意志による同意が、人間における研究の必要不可欠な前提となります。
アメリカでも最近までは、医者が同意を求めることが患者の「最善の利益」にならないと判断した時は省略してもいいとされていましたが、今では患者とのコミュニケションが全くできない時か、患者の病状に「重大な悪影響」を与える時のほかは省略すべきでないという態度を行政当局がとるに至っています。
知らせた上の同意は単なる「せまい技術的概念」ではなく「基本的な価値判断の問題」であるともいっています。
つまり人間とは何であり、どのように扱われるべきかという根本問題にかかわるのであり、単に法律技術的な問題でもなければ、臨床研究の実際的便宜のためのものでもないというわけです。
もっとも、現実の問題となると「説明した上の同意」は簡単なことではありまるのは難しいわけですから、すべての起こりうるリスクを、これでもか、これでもかというように列挙すれば、誰しも尻ごみするでしょう。
したがって、おのずから医学研究者の方で、起こるかも知れないリスクの重みづけをすることにならざるをえませんが、そこまでくると、その医学研究者の人間としての信頼性が問題となり、ひいては医学界全体の社会からの信頼度に大きくかかわることにもなるでしょう。
つまり、誠意をもって説明すれば了解してくれるという信頼関係が、結局はモノをいうことになりましょう。
医者というものは大部分が金儲け主義の破廉恥漢であるかのような世評が確立している社会では、どれほどよく説明されても自発的同意を期待できるわけはありません。
また、どれほど微に入り細にわたるリスクの一覧表を患者に渡してあったとしても、究極的には研究者・医者側の責任を免れるわけのものでないことはいうまでもありません。
責任は、あくまで研究者・医者側にあることを忘れてはならないでしょう。
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